政府は、6月の月例経済報告で、景気回復の先行きに黄色信号が灯ったと表現しましたが、8月の月例経済報告では、「弱含んでいる」と。基調判断から「回復」との表現が削除されました。2003年12月以来、4年8ヶ月ぶりです。これは、戦後最長の景気回復局面が途切れ、景気後退局面に転じたことを事実上認める内容となりました。
「バブル景気」の破綻後、失われた10年の後、穏やかながら景気回復の波が続いて来ました。2001年の景気の底を経て、今日まで続いてきたのですから、この70ヶ月は「平成景気」などという見方さえありました。数字でみれば、昨年までの6年間、GDP(実質国内総生産)は、年平均1.9%でした。上場企業の実績は向上し、製造業、輸出型企業を中心に、軒並み史上最高の利益を計上しました。この結果、株式の配当は、30%増え、役員報酬も20%増えたと指摘されました。問題は、従業員の給与です。殆ど、伸びを見ず、おまけに、臨時、派遣、アルバイト等の非正規雇用の働き手が増えたことにより、平均賃金は、低迷若しくは、減少していたのです。この間の、民間最終消費支出の経済伸展寄与度は、僅か、0.7%なのです。言い換えれば、今回の景気回復の主役は、輸出と企業であり、残念ながら家計は、沈黙していたとみられます。 デフレが一向に回復できなかったのも、この辺りの数字が物語っています。そして、やっと賃金上昇に入ろうという矢先、景気の先行きが怪しくなって来たのです。あげくの果て、不況とインフレが同時にくるという「スタッグフレーション」ではなどという見方さえ出て来られたら、国民は、たまったものでは有りません。取り訳、事業所数で98%、従業員数で73%の中小企業は、各種の対策の中でも、先行き不安でおののいているのが実体ではないでしょうか。都心から郊外へ進出した大型店との競争に疲れ、シャッターを降ろす商店街、商店街を中心に展開して来た地域の崩壊という今日のあり方は、既に、社会問題化しております。かって、WTOの指摘で、改正した「大店法」の後始末は、街づくり3法でさえ、中々埋め切れなかったのが実情です。
このような中、原油高から、ガソリンが180円時代に入りました。ついこの間、100円を割るような競争を展開していた業界の姿は、嘘のようですが、利益幅は、縮小しているというのです。その上、ガス、電気料金も、この夏から値上げです。輸入に頼る食料品は,概ね30%の値上がりをし、これでは、家計を守る主婦ならずとも、支出についてはシビアにならざるを得ません。年金、健康保険まで負担増の今日、家計に一段と負担をかける消費税増税は、財政再建の大目標の中では、理屈もつきますが、とにかくあらゆる行政改革を先行させた上で、考えるべきではないでしょうか。
世界的なインフレの予兆がある今日、ハンドルの切り間違いは、許されないところです。そして、秋の臨時国会では、原油高対策などを中心に、景気対策の財政出動、そして、定率減税復活などの思い切った経済対策をたてないと、景気は完全に後退するのではなかろうか。当然、総選挙も都議選も、敗北の憂き目を避けられません。福田改造内閣の思い切ったハンドリングに期待します。